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愛は瞳から生まれ、胸に落つる。
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一個下に拍手レス、もう一個下に私信があります。


今日、本を読んでたんですが。

『だましの文化史』という本です。作り話、寓話・冗談のつもりが本気で受け止められて困った話、営利目的の詐欺行為、化石の贋作、ひとを担ぐだけの罪のない悪戯、などなど。
ツタンカーメンの呪いという風聞から、風刺のつもりのフィクション『ガリバー旅行記』がノンフィクションだと受け止められてどうしようかなという実話、カモノハシは嘘のようなほんとの生物です!とか。
古今東西…おもに欧州とアメリカですが。政治・宗教・芸術・文学・科学・音楽・考古学。いろいろ載ってました。

その中で、「他人に迷惑をかけずしかも素晴らしい作品として評価されたもの」というのがあります。
場合によっては絵画の贋作も含むようです。絵画はもともと模倣が盛んでしたし、それが勉強のひとつでもあったので、ある画家の作品を同時代の作家や学生や弟子がうまく模倣して仕舞っておいたもの、が後世発見されて、サインなど施されて本物として売られる、なんてことが起こると、キャンバスや絵の具の時代や経年劣化から判定も難しいようです。今もどこかの美術館にかかってるかもしれなかったりして。

これは詩の話です。以下抜粋。
「イギリスのヴィクトリア朝の詩人エリザベス・バレット・ブラウニングとエドワード・フィッツジェラルドとは他人に迷惑をかけないような戯作を残している。ブラウニングが翻訳したという『ポルトガル朝からのソネット』は、おおかたが彼女の頭脳と詩心との産物だし、十二世紀イランで活躍したオマル・ハイヤームの詩をフィッツジェラルドが翻訳したという『ルバイヤート』は本当は翻訳者の創作だ」

おもしろいですね。しかもそれが優雅で興味深いだなんて。

さて、フィッツジェラルドが訳したという『ルバイヤート』。実はわたし持ってます。
学校で読んでたので帰って本棚を確認してみると、たしかに「著:オマル・ハイヤーム、英訳:エドワード・フィッツジェラルド」となってます。
しかして、隅から隅まで確かめてみましたが、フィッツジェラルドの創作だとは書いていない。むしろオマル・ハイヤームの略歴とフィッツジェラルドがそれを翻訳・出版する経緯は詳しく書いてある。
これは未だに担がれてるのか?それともわたしが『だましの文化史』なる本に担がれてるのか?

おもしろいです。ちょっと調べてみよう。


調べてみました。

詩の総数が膨大で、しかも発表することを想定しないハイヤームの個人詩集の体裁をとっていたため、真贋や評価には諸説あるそうです。しかしいかんせん、本邦での知名度はそんなに高くない。だからというか、真贋が問題になることがあまりないようで。調べたかぎり、フィッツジェラルドの創作だ、という説には当たりもしませんでした。英訳を邦訳してるから文体からだけでは何ともいえないし。

国内の書籍で調べるには限界があるかな。『ルバイヤート』研究をしてる本なんて詩集以外に出版されてないだろうし。
ちょっと気にとめておこうと思いました。もう十年もすればまた話も変わるかもしれない。英語を読めれば適当な本を自分で読むんですが。
どっちにしろ『ルバイヤート』はおもしろいです。抽象表現が過ぎてなんだかやたらわかりにくい側面もありますが笑 ご愛敬ですね。想像で読み解いていいものだし。
『だましの文化史』もオススメです。騙りの類型化は「話」の分類と把握に役立つ気がします。

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