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愛は瞳から生まれ、胸に落つる。
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各所のエイプリルフールがたのしくって!

なんかやりたかったけど準備不足ですうん。
あとサイトの開設日だけどスルーですうん。

ただ…ルパンの二次創作はしてみました。四月馬鹿たのしすぎてテンションあがったので。勢い。
興味ねぇよって方、いやどうせ嘘だろ?って方、嘘は午前中までですよって方、ていうか何故ここでいうって方・
ぜんぶごもっともなんですが、感想置き場に置くのも変かなと思ったので暫定でここで。
ぎんたまでも何か書きたかったけど時間切れでした。

別にぜんぜんエイプリルフールネタとかではない話。
たぶん後で移動させます。

前説いいからまぁ見せてごらんよ、って方、つづきからどうぞ。





フォークひとつ
 

気持ちよく晴れたオープンテラスの席のひとつで、男が二人昼食をとっていた。席の番号は15番テーブル。パスタもサラダもワインも山盛り。男たちの話している内容は聞こえないまでも、声は届いた。こっちは着いたばかりなんだぞだとか、あっちは夜だろうとか。仕事の話だろうか。出張の話だろうか。しかしビジネスマンには見えない。洒落ているといえば聞こえはよいが、とても勤め人には見えない風体である。まぁ世には色んな職業の人間がいる。オフィスの空気が自由なところもある。少しばかり一方の格好が派手だからといって、或いは一方が葬式帰りのような色のスーツだからといって、不思議がることはない。
ワインのおかわりを注文されて、置きにゆくとテーブルには男がひとり増えていた。これまた妙な風体の…そう、これは民族衣装だ。キモノだ。
ご丁寧にカタナのような棒までテープルに立てかけている。これは、サムライだ。
実在したのか…とこっそり目を瞠りつつ、これは正真正銘の変わった客だと他のテーブルを飛びまわりながら目で追っていた。
男たちはミネラルウォーターとペリエを頼み、更にプロシュートとチーズの盛り合わせとリゾットをを頼んだ。よく食べる客である。
リゾットはサムライ用らしい。と判明したのは、これはハシで食えん、と運んだときにサムライが呟いたからだ。ハシって何だ。
余程変な顔をしたのだろう、派手なジャケットの男が、マイハシ持参すれば?とサムライを嗜め、礼儀とばかりにこちらを口説きだしたからだ。もうひとりの男がそれを遮るようにいった。
 
お嬢ちゃん、フォークを取り換えてもらえるかな。
 
さっき落としちまって。そう付け足された。
はい只今、といって、テラス席から店内に戻る。そのとき、単車に乗ったライダースーツのフルフェイスの新しい客が、派手なジャケットの男の背後の道からふいに顔を出したのを横目で見た。
スーツの上からでもわかる、うつくしい肢体をした女だった。
また増えるのだろうか。ならばフォークはひとつでいいのだろうか。
そんなことを考えながら、別の席の注文も訊いて、食器類の置いてあるところまで戻ったとき。唐突に大きな音と大きな声がした。
パトカーのサイレン。硝子の割れる音。ざわめき。その混乱に似つかわしくない───笑い声。
怒鳴り声が後を追う。笑声。また笑声。
慌てて表に出て見ると、テラス席が半分ほど派手に吹っ飛んでいた。何が起こればこうなるのか…車だ、パトカーが突っ込んだのだ。これはすごい事故だ。テラス席にはかなり客がいたが、怪我人はいないだろうか。ワインを被った客なら相当いそうだが。
サムライたちのいた席も、勿論跡形もなかった。というより、席があった場所にパトカーらしきものが鎮座していた。らしきもの、というのは原型がかろうじてわかるだけで、元パトカーというよりない哀れな姿になっていたからだ。車は真っ二つだった。
どうしたらこんなことに。上からギロチンでも降って来たのだろうか。そんな馬鹿な。
あの席の客たちの姿はない。何処へ行ったのか。
唖然としていると、サムライたちの近くの席にいた壮年の客が、思わずペリエの瓶だけを掴んで避難したらしく、びっくりした顔ですぐ横に立っていることに気が付いた。
訊くと、窓から男が身を乗り出したパトカーが突っ込んで来て、テーブルにぶつかる、というところでなんとサムライがテーブルごと車を真っ二つにしたのだ、という。
パトカーの警官らしき男と、テーブルの男たちはやいのやいのと騒ぎながら、そして咄嗟に避難させた皿からまだものを食べながら、あっという間にどこかに走り去って行ったと───そういった。
まさか。そんな馬鹿なことがあってたまるか。荒唐無稽すぎる。
いやぁおもしろいもん見れたねぇ。ジャポネのサムライってのはまだちゃんと居るんだねぇ。壮年の客は興奮気味にまだ喋っているが、そんなことはもう耳に届かなかった。
 
手の中に残されたのは、思わず握ったままで飛び出してきてしまった、落としたフォークひとつ。フォークひとつ。
 
「…食い逃げ!」
 
 
 
…と、叫んでしまって壮年の客を大層驚かせた事件から、早数ヶ月。テラス席は数日のうちに再建され、今日も気持ちよく晴れたいい天気だ。
一旦はテラス席をしばらくやめようとか、そういう話も出ないでもなかったが、矢張り天気のいい日にテラス席があるとないとでは客の入りが違う。今日も晴天のため、テラスは満席だ。
とはいえそろそろ肌寒くなりつつある。昼下がり、日射しが移動してしまい、少し陰った席に客は居付かない。昼の忙しさから一段落して息をついたとき、またひとつの席から勘定を頼まれた。
老人が二人にしてはよく食べる席だった。勘定を済ませると、ありがとう、とチップを渡された。
多過ぎる。
少し困惑したのが伝わったか、どこか子どものような目をした老人が茶目っ気たっぷりにウインクした。
「それは、フォークの分さ」
 
フォーク?
 
「前に来たときもうまかったが、今日もうまかったよ。また寄らせてもらおうかな」
「ごちそうさま」
そんなことをいいながら老人たちは重い腰を上げてのっそりと席を立つと、通りの雑踏に消えて行った。
テーブルにはフィットチーネ。サラダ。プロシュートとチーズの盛り合わせ。ワイン。ペリエ。
「…渡してないフォークで、ずいぶん得をしちゃったわ」
15番テーブルを片づけながら、ぽつんと私はそう呟いた。

 
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たぶんアジトが近いからほとぼり冷ましてまた来たんですよ。

これルパンか?ていわれると、うん、一度も名前出てないですね!
折角四月馬鹿なので普段しない無理や無謀をしてみたかった。
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